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『修徳説教』初版の序


   1863年に筆者の説教の一部が出版されたが、本書はそれを改訂増補したものである。本書には教会で語った説教もあれば、語っていない説教もある。また、教会で読み上げるために書いた説教もあれば、自室で読むために書いた説教もある。このたびそれを見直し、加筆したところ、この説教集の主眼は修徳にあるということがいっそう明確になったので、書名を『修徳説教』と改題した。

   掌院時代に書いた『修徳実記』を読んでおいていただくと、本書で述べたものの考え方は修道生活から自然に生まれ、修道生活と切っても切れない関係にあることがはっきりとわかるはずである。本書では、ハリスティアニンが属神の修練を積むにはどうすればよいかについて、補足して説明している。だからといって、本書は修道士のみを対象とするものではない。聖師父の知恵、教会の知恵にならって修練を積むにはどうすればよいかを知ろうとする正教徒全員が対象である。


主教イグナティ

1866年